小児科医の注目

小児科医が注目する人間関係体験学習

小児科医との出会い

ふりかえると、赤碕高校の取組実践を県内外に広げることで学校や家庭、地域で苦悩し何とか現状を打開したいと考えている人たちに知ってもらいたいと、1999年に「鳥取県学校レクリエーション研究会」を発足させた。
(今春からは「とっとりコミュニケーション研究会」に改称)年8回の研修会に学校現場もちろん、医師、保育士、保健士、看護師、保護者などがたくさん集う。
とりわけ、一泊研修になると全国から多くの小児科医が集い年々大きな輪になっている。

5年前の夏、ある中学校の保護者対象の研修会でこんなことがあった。
研修会のタイトルは、
「すてきなあなたになるために−豊かな人間関係作りを学ぶ−」
と題したお話と演習を90分展開した。
その中に、鳥取県境港市に小児科医院を営む岡空輝夫医師がいた。
岡空氏は研修会で体験した『三角形を復元しよう』というグループで行う体験学習が強く印象に残ったという。
「グループにバラバラになった三角形の紙片が配られる。
それを他のメンバーと無言で交換しながら、全員が三角形を完成すると体験学習は終了する。
私は、自分の分だけ完成させ『うまくいった!』と思っていたが、完成した三角形を崩し、他のメンバーが必要とする紙片を渡さないとグループ全員の三角形は完成しないことに気づいた。
自分さえよければいいと考えていたことに気づかされ愕然とした。
みんなで協力することの大切さは知っていた。
しかし、知っていることと本当にわかっていることは別であることを身をもって体験した。
高塚さんは、このような学習方法を『気づきの体験学習』と呼んでいる。
このような体験を通して、人との関わり方を学べる人間関係づくりのトレーニングの奥深さに感動した私は、それ以来、高塚さん達が関わる『とっとりコミュニケーション研究会』に参加するようになった」と研修会をふりかえる。

さらに岡空氏は「『気づきの体験学習』は、いろいろな課題をこなしながら、自分自身の真の姿に自分自身が気づくように仕組まれていて、 しかも楽しみながらできるというまさに目から鱗の体験学習だ」と研修会に絶賛だ。

この研修会で心揺さぶられた岡空氏は「この研修が役立つのは自分だけではないだろう」と考えられ全国の小児科医に赤碕高校の取組やコミュニケーション能力を支援するワークショップなどの必要性を伝えられた。
以来、この取組に賛同する輪が全国の小児科医の間にますます広がりつつある。

とりわけ、赤碕高校に近い船上山少年自然の家で毎年冬開催する一泊研修(赤碕高校の取組を伝えたり、豊かな人間関係作りを学ぶー実践コミュニケーションー)には、全国の小児科医をはじめ子どもたちと向き合う様々な職種の方が集まり、赤碕高校の取組を広げる全国発進の場となっている。

特に研修会参加者の小児科医(すてきなあなたになるための合唱団)が、私がよく使う研修会のタイトル名から作詞し作曲した「すてきなあなたになるために」は最高だ。
講演会や研修会場でこの曲が流れ、参加者が口ずさむ。

♪「すてきなあなたになるために」
変わらない いろんなこと
   変わりゆく いろんなこと
新しい 風に 吹かれながら
守っていきたい夢も あるよね
移りゆく 日々の中で
見おとしてきた 大切なこと
すてきな あなたになるために
今日も 人と触れ合っていたい

優しさとか しあわせとか
なんとなく 嘘っぽい時代
目と目が 合ったその瞬間(とき)に
微笑み返せば いいことなのに
絶え間ない 暮らしの中で
思い出したいことが ある
すてきな あなたになるために
明日も 人を愛していたい

すてきな あなたになるために
いつも 自分をみつめていたい